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2017年7月27日開催
「心の鎖国を解き放て!」セミナー

日本語/英語のバイリンガル対応と国際性を強みとするインターナップ・ジャパン。今回のセミナーテーマは満を持して「日本人と英語」です。第1部は“英語を教えない”異色の英語講師ジュリアン・イズラエル氏による講演。多くの大手企業と英語研修契約を交わす実業家でもある氏が、“黒船式”英語レッスンと呼ばれるその独自の英会話戦略を日本の歴史になぞらえ、エンターテインメント性たっぷりに語りました。第2部では、翻訳の専門家である立見みどり氏をお招きしてのパネルディスカッション。「国際ビジネスで活躍できる人間とは?」をテーマに、それぞれの立場と見識から議論を交わしました。西洋文化を学ぶことが重要とする“黒船式”英語レッスンの是非から、話は日本の英語教育やAI翻訳の将来にまで及び、会場の皆さんをも巻き込んで白熱したディスカッションイベントとなりました。開催の様子をご紹介いたします。


第1部 講演:「英会話の黒船と会談:ジュリアン・イズラエル」

講師:ビジネス・イングリッシュ東京 代表 ジュリアン・イズラエル氏

第1部 講演:「英会話の黒船と会談:ジュリアン・イズラエル」

<講演概要>

“英会話の黒船” のストーリー
登場人物
幕府=既存の英会話スクール
日本の英会話教育業界を覆い尽くし既得権益を持つ勢力。山手線の車内広告をたくさん買うのが特徴。
長州藩=外国人英会話講師
恵まれない労働条件で客寄せパンダ的な扱い。長年、幕府に搾取されてきたかわいそうな人々。
薩摩藩=オンライン英会話
インターネットのスカイプ等を利用した新興勢力。コストや講師の数で優位に立ち、金儲けを目的とすることが特徴。
黒船=ジュリアン・イズラエル
既得権益を壊して、英会話業界に新たな世界を開きたいクラッシャー。
問題=心の鎖国
日本人はなぜ英語ができないのか?
・「英語ができない」の定義や基準ってなに?
・中国人や韓国人は英語が上手?
・テレビやメディアの影響、マスコミの陰謀説
ニーズを作り上げて売る広告戦略(恐怖と虚偽)
「私は月曜日は都合のいい女です」
英語ができないと恥をかく、プライドが傷つくという「恐怖心をあおる」英会話スクールの広告
「わずか60日で英語が話せる」
主観に過ぎない。話せる基準が不明で「根拠に乏しい」英会話教材の広告。
幕府の英語の売人
日本人の英語コンプレックスを増長させて商売にしているのは誰?
「文法がまだまだ」「発音がヘタ」などと要らぬニーズを作り出し、ビジネスを永久に継続。
莫大な広告費を使う一方、牛舎のような教室で講師は低賃金で社会保障なし
講師は外国人なら誰でもOK(特に白人希望)、ろくな訓練も受けておらず、すぐに辞めるので生徒も残念
日本人の変貌(マッチョから英語フェチへ)
三島由紀夫は独学で英語を習得
自国の文化と同じように西洋文化を愛し、英語も堪能。海外でも尊敬される存在。
現代の日本人は?
ステルスマーケティングに影響されて、「英語ができるようになりたい」と思っている。単に英語に依存し執着しているだけ。
“黒船”の来航(平成27年3月15日、ジュリアン来日)
領土を占有する英語の売人たちと武力外交
日本の英会話業界の鎖国を打ち砕く決意
“黒船式”英語レッスンとは?
“黒船式”英語レッスンとは?
英会話市場では多くが初心者を狙う。
なぜならそこが一番「美味しい」から
黒船は一番上の層を狙う。武器は「文化」!
ドネーション式レッスンの開始
・非営利型で、料金は受講者の寄付方式
・初心者ではなく、日常会話ができ更に上達を目指す人が対象
・西洋文化をテーマに解説、難易度と質はトップクラス
ここで開発したレッスン方式を企業へ提供
従来の英語研修にない新鮮で新しいアプローチが評価されている。
同盟~戊辰戦争
“同盟~戊辰戦争
黒船だけでは、鎖国を壊すことはできても新政権は打ち立てられない。
既存の英会話スクールを倒して、クオリティの高いレッスンを広めるための作戦とは?
独自のビジネス領土を持つ薩摩藩(オンライン英会話)
世界各国から講師を見つけ出し、オンラインでマンツーマン英会話を実現。コスト面で圧倒的優位。
幕府から搾取される長州藩(外国人英会話講師)
有能な外国人講師を味方につけ、幕府に圧力をかける。
幕末へ
英語を単なる言語として勉強するだけではなく、「西洋文化を理解し、それに親しむ」ことが重要。日本の英会話業界を是正し、日本人が心の鎖国を解き放って国際社会で活躍することはできるのか?
第2部へ続く

第2部 パネルディスカッション:「“国際ビジネスで活躍できる人間とは?」

パネリスト:立教大学 異文化コミュニケーション研究科 特任准教授 立見 みどり氏
      ビジネス・イングリッシュ東京 代表 ジュリアン・イズラエル氏
       インターナップ・ジャパン(株) 代表取締役CEO 奥野 政樹

第2部 パネルディスカッション:「“国際ビジネスで活躍できる人間とは?」

第1部で紹介された“黒船式”の英語戦略を踏まえ、引き続き日本人の英語習得や国際化についての議論が展開されました。

パネリストはイズラエル氏に加えて、自身も国内の英語学校で2年間学び、海外への留学経験も豊富な立教大学 特任准教授 立見氏と、同じく英語学校や英会話スクールへ通い、留学経験も持つ当社CEO奥野の3名です。

<ディスカッション概要>

■“黒船式”英語レッスンで本当に英語は上達するか?

司会:第1部でジュリアン先生が紹介した黒船式レッスンの成果も含め、議論をしていく。立見先生は翻訳の専門家で、かつてはご自身も英会話学校で学んだ経験があるが、黒船式レッスンについてどう感じるか?

立見氏:私自身も二週間ほど前にジュリアン先生のレッスンに参加した。中級以上で意欲的な人にとっては学ぶところが大きいと思う。まず資料を渡されて読み、読んだ内容について話す、つまり表現するから。英語学習には聞く・話す・読む・書くというのがありますが、その中の読んで話すという機会は割と多いので、その練習になる。それと自分が何か言いたいことがあるのに言えない、そこに気付くと学習のステップになる。ただ初級者には難しい。

イズラエル氏:確かにインターナップでやっているのは中上級者向けのレッスンなので、英語がまったくしゃべれない人が来たらちんぷんかんぷんだろう。

立見氏:また中級者でもそのテーマについてよく知らない場合は、日本語でも言うべきことを持たないと英語でも話せないので。そのレッスンは英語の上達を目指しているのか?

イズラエル氏:特に目指していない(笑)。英語を上達させるという目標を達成したとして、実際に上達できるものなのか疑問に思う、目標は必要なのか?必要だとしたらどういう基準で目標設定をすればいいのか?

立見氏:語学習得の基準はいろいろあるが、まず最初は自分のことが話せること、次に自分の家族や自分のやっていることが話せる、とだんだん広がっていって、社会問題について話せるというように段階を上げていく。語学力と言うと昔はいくつ単語を知っているか、どんな文法を知っているかが基本だったが、今はCan Doが基準となっていて、「どういうことができるか」で語学力を判定する。自分はどこを目指すのか、例えば簡単な会話ができればいいとか、レストランで注文できればいいとか、あるいは日本の政治について語り合いたいとか、そこに目標設定をしてできるようになるかならないかで判断することができる。

司会:インターナップ・ジャパンでは実際にジュリアン先生のレッスンを毎週1回受けているが成果はどうか?

奥野:約2年弱レッスンを続けているが、英語力の向上という意味では成果が出ているのは私だけ。当社は外資系企業なので社員の8割ぐらいはそこそこ英語ができる。世に言う中級ぐらい。私は自分で言うのも何だが、外資系企業の社長なのでたぶん上級。レッスンには私と、中級者が数人参加するが、私以外のほとんどの人がまったく議論をわかっていない。例えばロビイストがテーマの時、そもそもロビイストが何であるかを知っていたのはおそらく私だけ。ジュリアンに「日本にはなぜロビイストがいないのか?」と質問されても誰も答えられない。だから私が説明する。そういった会話を私とジュリアンがやってあげないと、間違いなく他のメンバーは何が何だかわからなくて興味を失ってしまう。そういう状況でもなぜ2年近くレッスンが続くのかというと、無軌道な発言を許可しているから。まったく関係のない話をしたり、「わかんない」と日本語で言うことも許されていて、それでなんとなくバランスが取れている面もある。ジュリアンが目指すところの西洋文化のインプットという点で言えば、毎回彼が伝えようとするもののうち、おそらく2~3%をつかんでいる程度。週1回で2~3%つかむのを年間40回やるとして80、2年やれば160なので、続けることによって当社社員の海外に対する耐久力は確かに上がっていると感じる。当社はACCJやBCCJの交流会によく行くが、2年前は社員はみんな引いていた。ジュリアンにはそういう場でのサポートもしてもらっていることもあり、社員があまり怖気づかなくなって、営業成果も取って来られるようになってきている。そういう意味ではかなりの部分、黒船式レッスンの効果が出ていると思う。ただし定量的な効果はまったくわからない(笑)。

イズラエル氏:インターナップ・ジャパン以外でも西洋文化を理解すれば西洋人とのビジネスがうまくできるんじゃないかと、長い間お付き合いしている企業がある。英語だけが評価基準というのは間違っていると思う。英語に執着してしまうと、さっき講演で話した現代の若い日本人たちのように、TOEICのスコアで収入に差が付くといった広告に踊らされるようになってしまう。そういう人たちは、自分の存在感を英語に依存させてしまっている。そういう人は日本人から見ても西洋人から見ても魅力的ではない。そういう人たちは基本的に私のレッスンには来ない。来なくていいと思っている。来てほしい人とは、海外の文化をより奥深く知りたい、海外の美徳を学びたい、三島由紀夫のように西洋文化を理解したいという人たちは大歓迎。TOEICの点数を上げたいという人にはたぶん別の方法がよい。

立見氏:問題点が二つある。そもそも“西洋文化”とは何か。異文化コミュニケーションの観点から言うと、英語を学べば西洋がわかるという感覚が日本にはあって、英語を学べば海外すべてがわかる、英語が海外を代表していると考えてしまうことが問題。西洋と言ってもアメリカ人、イギリス人、フランス人、イタリア人とまったく文化の質は違う。ところが今の日本にとっては西洋・海外=英語となっていて、ジュリアン先生の「西洋文化を学ぶ」というやり方はそれを助長してしまう可能性がある。もうひとつは、文化を学ぶことがビジネスにとって必要というのはわかるが、文化が要らない人もいる。例えば英語の論文を読みたい、英語のニュースを知りたい、別にアメリカやオーストラリアやイギリスの文化を知りたいわけではない、ただ、英語を学べばいろんな人間とか情報にアクセスできるので、それが目的で英語を学ぶ人がたくさんいる。それは国際語となった英語の宿命で、文化と切り離したスキルとなっている。だから英語を学ぶ人全員に文化も学んでほしいというのは無理がある。西洋文化・海外文化とひとくくりにすることも危険だと思う。

イズラエル氏:西洋文化とは主にキリスト教の国々の文化。

立見氏:キリスト教と言ってもプロテスタントとカトリックの違いもある。

イズラエル氏:大きくWestern Culture と言えばJewishも含めたキリスト教であり、欧米の文化だと思う。一つの例を挙げると、日本には武士道という文化があるが、イギリス・ドイツ・フランスにも騎士道の文化がある。その共通点や違いを理解することは、英語を学ぶ以上にその人の性格に反映される特典があると思う。英語を学ぶけれど文化は要らないという人については、文化とは考え方とか価値観、人との接し方などが含まれるが、英語を学んでも文化を身に付けないということが可能なのか。

立見氏:言語とは思想や文化を代表しているので、言語を学べば当然文化も学んでいく。しかし英語は国際語という特殊な言語になっているため、多くの国の人々が集まる場での共通語として英語を学ぶ人も多い。英語圏の文化に傾倒している訳ではなく、使えれば便利だからという理由で勉強する。私もそれが英語を学んだ動機。

■グローバルに活躍できる人間とは?

奥野:もちろん国際ビジネスをやるには英語だけできてもダメというのは確かにあるが、文化を学ぶにも英語がわからないと学びようがない。ジュリアンのレッスンはそこを飛び越しているのでそこをどう解決するか。例えば今回の講演でも、日本における英語教育を語る時に絶対はずせない学校教育が無視されている。既存の英会話学校ではなく学校教育が幕府。学校は読み書きの文法を重視しているが、英会話学校は文法ではなく話すことが大事としている。英語圏の文化を理解するための英会話は、どうすればできるようになるのか。最近とみに、「学校の文法と読解中心の教育は間違えている、だから日本人は英語ができるようにならない、もっとしゃべらなければならない」と世で言われる。学校でも大きな教育制度改革が行われ、小学校3年生から英語教育が始まる。5年生からは教科になり、中学校では文法を英語で教えるようになる。しかし私は、日本人が英語ができない理由は高校まで素晴らしい基礎を作っても大学で勉強しなくなるからだと思う。なぜ勉強しないかというとつまらないから。日本人には文法と読解は絶対的に必要で、これを抜きにしていきなり外国人と話しても英語ができるようにはならないと思う。

立見氏:今の中学校では文法をあまり教えないので、大学生が文法を知らない。“I like ~”を”I ~ like“と書いたりする。

イズラエル氏:それでもわかるから問題ない。私の場合、日本人の中でコミュニケーションがとれる人ととれない人の境界をすごく感じる。サッカーとかTVドラマとか共通の話題で話せると距離感が縮まる。コミュニケーションとは英語が上手いとか文法ができることではなく、どれだけ相手を理解しているかだと思う。

立見氏:基本的なコミュニケーションならそれでいいが、何か自分の意見を言いたいと思ったら、ある程度文法ができないと難しい。

奥野:ジュリアンや当社の外国人社員は日本人を甘やかしていて(笑)、”I am convenient woman on Monday.”でも意味がわかると言うが、私のアメリカ人の友人にはやはり通じない。

立見氏:通じないし、第一ビジネスの相手として信頼されない。

奥野:それで満足していては国際ビジネスでのコミュニケーションはできない。

イズラエル氏:国際ビジネスの場合は弁護士を雇って差配してもらえばよい。普通に話す内容ならまずコミュニケーションをとるのが大事で、それが基盤となって上達していくのだと思う。日本人と外国人の関係は自分で吸収していくもので、人から教わるものではないと思う。

奥野:幕末に長州ファイブと言って、長州藩士5人が英国に留学させられた。行った時点ではまったく英語ができなかったが、ファイナンシャル・タイムズを毎日辞書と首っ引きで読むうちに、半年で全員がイギリス人と政治の会話ができるようになった。彼らはコミュニケーションではなく読み書きと文法を半年間必死でやった。

イズラエル氏:それは素晴らしい。長州ファイブは英語を学ばないと来た意味がない、生きるか死ぬかの問題。そういう状態に置けば、人間は能力以上のことができる。それが今の日本には足りない。

立見氏:英語の習熟度を試すテストの試験官をしたことがある。それは会話をしながら、その人に関する質問に答えられるともっと難しい質問をしてレベルを上げていくというもの。学生時代に留学したことがあるという人は、発音もいいし最初はうまくいくが、ちょっと難しい質問をすると途端に破たんして話せなくなる。逆にいかにも「受験英語は勉強してきたけど英語で会話したことありません」というオジさんたちは、最初はしどろもどろでも、だんだん場に慣れてくると考えながらちゃんと文章を組み立てて言える。そういう人との方が深い話が実際はできる。いわゆる駅前留学などでは「あなたは日本語を勉強するのに文法を学んでいませんよね?英語だって同じです。」とうたっているが、そんなことはない。日本人だって、日本語を話す人たちに囲まれて毎日話しかけられ、学校でも文法を勉強し、15年ぐらいかけてやっとまともに話せるようになる。それを大人がやろうとしたら、文法を学ばないと効率が悪くてしょうがない。

イズラエル氏:難しい質問をされた時に、オジさんたちはゆっくりでも頑張って話したが、留学経験者はすぐくじけた。頑張ればもっと上へ行けるのでは?

立見氏:なぜ頑張らないかというと、それで何とかなってしまうから。普段は適当な会話ができるので、それ以上努力しない人が多い。若い頃に英語圏で暮らす機会が無い人にとっては文法を学ぶのが近道だと思う。

イズラエル氏:難しい質問に答えられないというのは文法の問題?

立見氏:言いたいことがあっても組み立てられないということ。

奥野:文法を理解している人の文章はわかりやすいが、そこが崩れていると訳がわからない。ネイティブならわかるかというと5人のうち5人それぞれが違う理解をする。だからジュリアンの難しい文化的なテーマのレッスンに出ていると英語力が上がるかというと、それはまずないと思う。

イズラエル氏:奥野さんの上達がいい例。奥野さんのように能力があって努力する人にとっては恩恵が受けられる。

立見氏:初級から抜け出してそのレベルまで行くのが難しいので、それを何とかしてあげないといけない。

イズラエル氏:初心者をレベルアップさせようとはしていない。

立見氏:中級で意欲のある人は放っておいても学ぶ。

奥野:一部のエリートだけが満足するものを与えているのでは?

イズラエル氏:その一部のエリートたちについてくる人たちがいるはず。エリートが選ぶのは当然ハイレベルなものだから。

奥野:どうやったらみんなが英語ができるようになるのかという日本が抱える根本的な問題が30年ほどずっと議論され、学校教育が悪いと言われているが、“黒船”としてはどう思うか?

イズラエル氏:基礎を学ぶという点では評価する。ほとんどの日本人に読み書きができるという基盤を与えている。

立見氏:街の英会話スクールは本当に効果がないのか?

イズラエル氏:講師の質による。中にはバイト感覚で時間を費やせばお金がもらえると考える人もいるし、職人意識で挑む人もいる。私は何十時間もトピックについて徹底的に学習して独自のレッスンを開発し、それを提供しようとしている。寿司屋の見習いをしていた時に学んだ日本人の文化や仕事に対する真面目さを吸収したから、このレッスンを高く評価してもらっていると思う。

奥野:実は私も街の英会話スクールに行ったことがある。確かにジュリアンのようにレベルが高く、私の需要に応じられる講師はいなかった。学校側が用意したテキストは文法は関係なく会話に慣れること重視で、それができたからどうなのと思うもの。結局ほとんどの生徒が続かない。半年もするとつまらなくてやめてしまった。

イズラエル氏:講師が金儲けのための商売でやっているのと、それ以上に何か達成しようとする原動力が異なればもちろん結果も異なる。ところで日本の学校と海外の学校はクラスルームの様子自体が違う。例えば、日本では授業で質問するとみんなが変な目で見る。アメリカやイギリス、特にフランスなどでは質問するのは極めて普通のことで、参加型という文化がある。日本にはそういう文化がないから、英語だけの問題ではないと思う。英会話スクールにとっては日本人が英語ができないというメッセージを拡散すればビジネスにつながる。私のメッセージはそれを否定すること。日本人はコンプレックスを持つ必要はない。

奥野:しかし国際ビジネスをやる中では、日本人の英語力が不足しているのは間違いない。街の英会話スクールは意味がないという意見には同意するが、いきなり英語よりも文化だというのは、日本の問題を解決する黒船としてはちょっと物足りない。

立見氏:英語を重視し過ぎることが気になるのなら、英語が西洋文化を代表していると誤解されるような言い方はやめた方がいい。西洋文化をひとからげにして英語がそれを代表しているという方向性になると、日本人はますます英語に執着するようになる。英語は単なるひとつの言語、ただし国際的に使われていて便利だから学ぶという意識の方がよい。

イズラエル氏:私は西洋文化だけでなく、例えばインドの文化も扱う。実際にインドに赴任した人には非常に効果的で、現地でうまくやっている。私のアプローチは英語を上達させることではなく、海外で通用する人を育成すること。英語がすべてではない。

奥野:文化で言うと面白い話がある。昔、留学経験もあるような日本人の集団と英語で仕事をしていた時、「受動態で書くと言いにくいことも柔らかくなる」と言う人がいた。何かをリクエストする時に”I request ~”だと言い方が強いが、” It is requested that ~”と言えば柔らかいというもの。しかし”I request ~”と言わないとアメリカ人には伝わらない。アメリカは強烈に書くというのが文化で意味不明な受動態は使わない。日本人が書く文章は、かなり英語ができる人でも異様に受動態が多く、主語と述語がはっきりせず、長い。アメリカの文化を理解していないといくら英語ができても通じない。

立見氏:英語風のやり方にしなければいけないこと自体がフェアではない。英語は国際語にはなっているが、暗に英語文化の優位性を認めてしまっている。アメリカが日本に歩み寄ってもいい。

奥野:アメリカ人は日本語を勉強しない(笑)。アメリカとビジネスをするには通じないとしょうがない。受動態で書けば弱いと思われなめられてしまうので、絶対に”I request ~”と書かなければならない。

イズラエル氏:ところで日本人は英語ができないという問題は何年ぐらい続いているのか?

立見氏:本当にできないのだろうかと疑問に思う。中学、高校でかなり学んでいるのだから、それを駆使すればできるはず。できないのではなく、できないと思い込んでいる。日本人は謙虚だから、すごくできないとできると思わない。少し前に学校で文法を詰め込む教育をやめたので、今の子たちは基礎力が落ちている。

奥野:中国人や韓国人は日本人より英語ができるのか?

立見氏:性格の問題だと思う。力は同じぐらいでも自信を持って使うか使わないか。

(ここで会場の参加者より発言)

参加者1:英語の本質について議論してほしい。英語は道具だと思う。道具の使い方や磨き方ばかり練習している。練習ばかりで本番を迎えない。英語が目的・ゴールになっている。人とコミュニケーションをとる喜び、もしくはとれなかった悔しさを実地訓練しないと意味がない。自分は英語がまったくしゃべれないが、世界中に友達がいる。それはこの人と友達になりたいという意思があるから。友達になるために英語がしゃべれた方がいい、文化を知るのがいい、と思う。「スシ、アリガトウ」だけで日本語がしゃべれると言う人もいる。英語ができるというのは定義はばらばら。二語でもコミュニケーションがとれるという気持ちの方が大事。もしビジネスで英語を使わなければならない場合はインタープリターをつければいい。ただし飲みニュケーションの時には「こいつ面白い」と思わせる方法で自分を演出すればよい。

参加者2:英語を勉強してもうまくいかない理由、グローバルに活躍するためのヒントを得ようと思って来ている。コミュニケーションが大事だということはわかったが、ではワンステップ上がるにはどうすればいいのか。

奥野:単純に英語を聞き流しているだけでは絶対にできるようにはならない。本当に英語ができるようになりたいのであれば、もう一度文法からやり直さなければならないと思う。中学校から高校までの教科書を勉強するのがよい。昔からの英語教育は合っていると思う。

参加者1:それは英語を話すためのことであって、グローバルで活躍できるメソッドとしては響いてこない。

奥野:おっしゃる通り英語はツールであって、そのツールが取得できないという人の悩みに答えている。英語ができないとグローバルの場にも立てないから。

参加者1:グローバルと言っても、どの分野に活躍の場を見出したいかはそれぞれ。例えばサッカーの長友選手。彼はまったくイタリア語はできないが、その国の空気感や雰囲気に合わせられるから受け入れられてトッププレイヤーとして活躍している。言葉が足りない分、Funnyなことをやって自分を演出している。言葉は後から少しずつ覚えていった。本田もしかり。グローバルに活躍したいのならば、英語を一から勉強するのではなく、活躍したい分野の専門用語やルール、やり取りの仕方を英語化して勉強する方が実践的だと思う。 

立見氏:大人が英語を習得する近道はやはり文法を学ぶこと。イギリスとアイルランドに留学していたが、各国から集まった学生たちは母国語と英語以外に数ヶ国語ができるのが前提。英語ができることだけを目標にすると、逆にハードルを上げることになる。英語は通過点に過ぎず、そこから何ができるかに視点を移した方がいいのではないか。英語を最終目標にしすぎないこと。

■AIが完璧に通訳・翻訳するようになったら、人間は英語ができなくてもよくなるのでは?

立見氏:そうなったらいいと思う。誰かとの間に個人的で人間的なつながりを持とうと思ったら、お互いの言語を学ぶことは相手をリスペクトする意味でも非常に大事なこと。しかしビジネスや政治の場面では別に考えるべき。機械が完璧に通訳・翻訳するようになったら、英語をベースにしなくてよくなる。今は英語がスタンダードになっているために英語文化優位を認めてしまっている。機械が発達してみんなが自分の言語で話し、言語的な優位性がなくなればよいと思う。みんなが対等になるためには英語重視をやめたい。機械が完璧に通訳・翻訳することにより、日本人は日本文化をもって、中国人は中国文化をもって、アメリカ人はアメリカ文化をもって、対等にビジネスや政治ができるようになればよいと思っている。

参加者3:AIの翻訳についてはシンギュラリティは絶対に来ない。限定した分野、例えば医療や法律といった絞られた範囲については完璧な翻訳ができるかもしれないが、全分野にわたってはまずムリ。ワトソンなどもある種の病気に絞られているからできる。

奥野:AIが通訳をするようになると、おそらく日本人は自分でやりたいという気持ちになり、英語熱は高まってくると思う。アメリカ人は「便利だ」と言ってますます外国語を勉強しなくなる。

立見氏:チェスの例がそう。世界のプレイヤーが機械に負けてから、人間のチェスのレベルが上がった。

奥野:囲碁も同じ。人間のプロは負けたことをショックとしてとらえるよりは、コンピュータから学ぼうとしている。囲碁や将棋に対する注目がますます集まり、やろうとする人も増えている。日本人は割と努力家というか、新しいものを開拓していこうとする。機械が人間性の見える打ち方をするので面白い。人間以上に人間っぽい。AIは感情を持つようになるのではないかと思う。

参加者3:それはない。AIは過去のデータを全部見ているだけ。もうひとつは強化合宿。AI同士で対戦させることで新しいものを生み出しているというレベル。

奥野:AIが強くなっているのは、ディープラーニングで人間的になってきているからではないか。単純に覚えて処理が速いだけではなく、コンピュータ同士で対戦し、過去の事例から学ぶということを覚え出したのでだんだん人間的になり、人間に勝つようになった。人間の感情もそうやって発展したのだろうから、やがてAIも感情を持つようになる時代がくるのではないか。

第2部 パネルディスカッション:「“国際ビジネスで活躍できる人間とは?」

最後は英語とまったく関係のない話になったものの、筋書きがなくそれぞれの遠慮のない意見・主張のぶつかり合いはライブならでは。
会場のお客様をも巻き込んで、聞きごたえのあるディスカッションとなりました。

ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。


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