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オヤジの説教

2015年10月

世の中、オヤジの説教というのはどうにも評判が悪いものです。アルコールが入ると始まるアレですね。底流には、「今の若い者は」という世代間の行動様式や価値観のギャップがあるわけですが、説教をするオヤジ側には「自分の方が正しい」という絶対的な信念があります。そしてその根拠は、「自分達が若い頃置かれていた環境は、今よりも縦の関係がずっと厳しく、自分はその中で大変な苦労をし、しかもそれを乗り越えてきた」ということです。つまり、先輩や親が自分に接した態度は、今自分が若手社員や子供に接している態度よりもはるかに高圧的、時には暴力的でさえあり、それに鍛えられてきた自分は一本芯が通った正しい人間であるが、今の若者は甘やかされているので軟弱だ、という論旨ですね。


私も若い頃、この手の説教を時々受けました。正直、何か参考になることはまず無かったのですが、かと言って別に、そんなに嫌でたまらないということもありませんでした。ただ、そうやって説教をしている人があまり格好いいとは思えません。いつもちょっとシニカルな会社の同期が、「確率論的に、やがてああいう感じになっちゃうのが、俺達の中からも何人も出るんだよな」とポロリと言ったのを聞いた時は、かなりの恐怖を覚えたものです。
 
 そして、私も遂にそういう年頃になってしまいました。会社の同期との付き合いはあまりないので、どれくらいの人数が「説教オヤジ」をやっているのかはわかりません。しかし自分の胸に手を当ててみると、正直なところ、若者を説教したいという欲望がまったく無いというと嘘になります。普段は抑えているつもりでも、最近よく来る学生ベンチャーみたいな会社が企画する経営者インタビューのような席になると、ついつい抑えていたものが噴出しがちです。


どうしてそういう説教願望が湧いてくるかですが、若者を教育しようとか、若者のためにという気持ちはまったくありません。それが目的で、俺は嫌われても説教をしているのだ、俺は言うべきことは言う男だ、と教育者気取りで嘯いている人もよくいますが、少なくとも私は、説教に教育効果がないことはわきまえているつもりです。私が説教をするのは、あくまでも自分のため、自分が培ってきたものを若者にぶつけてみてその反応を見る。受け入れられるのか、受け入れられないのか、それを見ることで自己確認をしたい。それだけです。受け入れられればとりあえず安心する。一方、受け入れられなくても別に反省はしません。そこは説教オヤジよろしく、「この若者は駄目だな」と思うだけです。
 
 こういう調子ですから、やはり説教をされる若者は大層迷惑をしているのではないかと思います。なので、私なりにいくつか気をつけていることがあります。まず、抽象的な話はしないこと。すべて実例に基づいて話すことです。自然それは、大筋自慢話になります。聞きにくいかもしれませんが、それでもまだ、聞きどころのない抽象的な価値観の話よりは随分とマシなのではないかと思うのです。なにせ、オヤジの説教がつまらないのは、抽象的で何を言っているのかわからないということがまず主たる原因ですから、具体的な事例を踏まえ、少しでも話を分かりやすくしようというもくろみです。


次に、なるべく時間軸の近い話をするということです。ついつい、「俺がお前の年の頃は」と時間軸を後ろにずらして、年齢の平仄を合わせた方が比較がしやすいように思えてしまいますが、どうもこれは、事例が時代を超えて汎用的に示唆を含むかなり特殊なものでなければ、相手の気を惹くことはできないわけです。それよりも同じ時代を生きる者として、思い切り年齢差と経験の差を出してその時代を切りまくり、「どう?お前、全然俺にかなわないだろ。まいった?」と説教した方が、まあいい悪いは別にして、面白いのではないかということです。
 
 そして最後に最も重要なことですが、身の丈に合った話をすることです。自分ができていない話をしないこと。オヤジの説教が説得力を失う最大の要因は、「それはそうかもしれないけど、結局あなたそれ、できてないよね。」という誰も言ってはくれない反論に耐えられない内容になっているということです。この状況が最も格好悪いので、これは何としても避けなければいけません。


こう考えてくると、若者を説教するには自分が現役で、現在の新鮮なネタを常に仕込んでおかなければいけないということで、結局、今の自分に返ってきてしまうのです。兎にも角にも、若者に説教を続けるために今を生きる。まあ、そういうことではないかと思うわけです。

代表執行役CEO  奥野 政樹
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