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CEOニュースレター

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先は見えない、これがホントです

2015年02月

日本経済新聞に、「私の履歴書」という月単位の連載があることをご存じの方は多いと思います。
2015年の新春第一弾は王貞治さん。私の少年時代のヒーローですから、見えない目をこすりながら読んでいますが、ちょっと「あれっ」と思う記述がありました。例の一本足打法を作り上げていく過程における、王さんと荒川博コーチの真剣を使った猛特訓の話です。巨人軍に鳴り物入りで入団したものの、なかなか思うように成果が出せない王選手。背水の陣で、新打法を完成すべく連日連夜荒川コーチ宅へ通い、真剣で藁を切りつけたというものです。何度も踏み込んで刀を振るうちに畳が擦り切れたというような逸話とともに、私の世代の男子にとっては、王さんを努力の化身としてロールモデル化するに十分なものでした。

 
 ところが「私の履歴書」には以下のように記述されていたのです。「毎日、飲んだ後に荒川さんのお宅にお邪魔する。深夜12時を回っているが、荒川さんは麻雀か何かで外出中。帰宅を待って2時頃から特訓が始まる。連日そんな調子で、さぞかしご家族もご迷惑されたことだろう。」
 
 努力の人王貞治が、背水の陣で荒川コーチの奇策一本足打法にすべてを懸けたという、これまでの悲壮感あふれるストーリーとは微妙に空気感が違います。確かに王さんの話にもそういう要素が感じられないわけではありません。しかし、全然成果が出ないのに本人は毎日夜遅くまで飲んだくれ、コーチはコーチで麻雀三昧、これだとどうも、悲壮感というよりズッコケを感じてしまうのは私だけでしょうか。更にちょっと笑ってしまうのは、王さん自身は、これをやっぱり、何のてらいもなく悲壮感と努力の話として語っている節があることです。つくづく、昔は世の中大らか、「あそび」が多かったんだなあということを感じました。


それに比べて、今は何かと小うるさい時代になったものです。こうでなければいけないとう決まりごとがやたらと多く、しかもビジョンだのストラテジーだの倫理だのと、その殆どは空論だったりもするのですが、みんながその空論に合わせようと右往左往している。そうなってしまう原因は色々あるのでしょうが、先が見えないと不安という恐怖から逃れるために、できるだけ世の中から意外性を排除しようという、無駄な試みに夢中になってしまっているように私には見えます。先が見えないと不安という感覚の増幅は、やはり先の見える者が利口であり、優れているというおかしな教育の産物なのではないでしょうか。先は見えないというのが正しいのであり、先が見えるという輩は基本的には詐欺師である。これが真実です。


最近採用面接をしていて、自信のない人があまりにも多いことに驚いています。何も特別なことは
質問していません。「あなたは、様々な困難を自分の力で乗り越えていく自信がありますか?」文字通り、ストレートにこう聞くわけです。採用面接ですから、当然みんな躊躇なく「はい」と答える、そう思っていました。ところが、むしろそれは少数派。多くの人がまず「うっ」と引きます。その後の反応は様々。プロ棋士レベルの長考に入る人もいれば、「自分の力で」の定義をしきりと確認してくる人もいます。「自信がありません。」とははっきり言わないまでも、すっきりと「はい、自信があります。」と答える人は意外なほど少ないのです。

 
 きちんとしたデータをとったわけではないので、感覚的な話で申し訳ないのですが、自信がない人達は総じて、会社の研修制度や育成計画が、固定のものとして存在するかどうかにこだわる傾向があるように思われます。「育成は、個々の特性に合わせて柔軟に、オーダーメードできめ細かくやりますよ」という回答にはあまり共感を示しません。どうも、会社に自分の将来像をはっきりと示してほしい、決めてほしい、レールを敷いてほしいという思いが強いようです。要するに、自分の先がわかる会社に入りたいのでしょう。


しかし、繰り返しになりますが先というものは見えないのです。そしてもっと大切なことは、先というのは自分で作っていくものであるということです。他人や会社に合わせて作っていくものではないし、ましてや他人や会社に作ってもらうものではありません。私が「困難を自力で乗り切っていく自信はありますか?」と聞くとき、本当に問うているのは「自信」のあるなしではありません。私が知りたいのは「気概」があるのかどうかです。自信など、本当は誰もないのです。けれども気概がある人は必ず、自信があるかと問われれば「ある」と答えるはずです。やらないことにはどうにもならないことに対して「自信がない」では、すでに失敗を決定づけることになることを知っているからです。

 王さんは、確かに飲んだくれて真剣を振っていました。でも、私が「ホームラン王になる自信がありますか?」と聞いたら、当然のように「勿論ある」と答えてくれたと思うのです。

labirinto


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