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8/25大規模通信障害の変~あやしうこそものぐるほしけれ/エンジニア徒然草

2017年09月12日

2017/8/25に発生した某大手企業の設定ミスによるインターネット障害について、専門的すぎる話や「自分のところは大丈夫だった(通信していた相手先はわかりません)」などの意味の無い自慢が目につきますが、そこんところも含めてそこはかとなく書き綴る今回のエンジニアブログ。


この事件については、既に(ネットに限らず)ニュースになり、話題も落ち着いてきているとは思います。当社オフィス(当社の東京拠点を経由してインターネットに接続しています)のネットワークには(それこそ普段のネットサーフィンでも)それほど影響が出る事も、また個人では幸い影響が出る宛先と通信していなかった為、体感では何事もなくインターネットを利用していたのですが、ここまで影響が大きい場合、通信相手が巻き込まれるなどで影響を受けたお客様も結構いらっしゃいました。TCPというのは結局双方向でのやり取りになりますので、当社拠点が大丈夫でも通信先が巻き込まれていれば結局通信が出来ませんし、事象についてはお客様側からは原因不明の通信エラーとしか見えませんので、お問い合わせされるお客様も多くいらっしゃいました。

まあ、経路の数が万単位で突然増加することは通常無い事ですので、経路数の急増の時点で「あ、誰かミスりやがった」と思われたネットワークエンジニアの方や、某アジア諸国の「検閲のために経路設定を弄ったら全世界に漏れちゃった」事件などを思い出された方もいたかと思います。某国によるテ ロだ、という話までありましたが、もしテロであのAS番号の経路を広報出来るならもう危ないどころの話ではない位は分かるのではないかな、と思ったり。思い出したり気づいたとしてもその場で対処しようがそれほど無い事象だったとは思います。

そもそも、この手の「全世界に伝わってしまった間違った経路」については日常的に発生しており、あの手この手で間違えた経路を広げない仕組みや新しいRFCなどが提唱されたり導入されたりしてはいるのですが、正直ミスはどこかで発生するものですし、今回はミスした会社が大きすぎたのが問題なわけですね。全世界にまたがるネットワークでミスが発生すれば、その問題が全世界に伝播するのは仕方ない事だと思います。その場合、どの程度影響を抑えられるか、が大事になるのではないかな、と。

また、ミスをなくすために「設定の多重確認」や「正常な経路のフィルタ」などを行ってしまうと、「経路障害の際に切り替える」というインターネットの根本的メリットを失いかねませんので、インターネットの堅牢性と可塑性のバラ ンス問題でもあるわけです。硬直した組織は腐敗しますが、柔らかすぎる組織は安定しません。「すぐやる課」みたいなもんだと思いました。

あと、某通信系プロバイダと某電力系プロバイダの両方が影響を受けた事も、日本での大きな影響の原因かもしれません。ほとんどの会社が望まれ る「冗長化」(複数異経路による多重化)は、せいぜい「通信系と電力系」とか、「通信系メインとモバイル系サブ」などだと思いますが、両方のプロバイダにしても、 まさかどちらも利用している大企業が間違った経路を万単位で突然広報するなどの想定は無かったと思いますし、当然巻き込まれます。

当社では今回は幸いにもより安全なポリシーに則った接続先選定の結果、「影響に巻き込まれなかったプロバイダ」を利用していたことが大きかったと言え ます。また当社の「MIRO(インテリジェント・ルーティング)」が最適化経路を選択するなかで間違った経路を重点的に潰してくれたため、当社側の影響は最小限で済んでいる筈なのですが、当社に到達するトラフィックが若干減少はしてお りますし、通信する相手側が巻き込まれたための影響も大きいでしょう。

たとえるなら、旅客機で4つのエンジンのうち3つが故障しても、たった一つ残っ たエンジンを利用してなんとか飛行が可能だった状態でしょうか。もしくは、30メートルの高波にも耐えられるタンカーで27mの高波を乗り越えて進む、でしょうか。多少荷物が水をかぶってダメになったり、乱気流などで怪我人などが出たものの、墜落や沈没には幸い至らなかった、という事だと思います。

この場合、8月25日の障害でも影響が出なかったのを誇るのではなく、堅牢な設計を行っていた為、幸いにして当社ネットワークに起因する大きな影響は出なかったものの、やはり本質的に不安定なインターネットというインフラを支える為の設備や運用により重きを置いて、リスクの低減や影響の最小化を目指して行くことが大事なんじゃないかな、と思いました。

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