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AIと人類の行き着く先とは? — セミナーまとめや補遺など

2016年05月25日

先日のセミナーのすぐ後の日曜日に羽生名人が人工知能に迫るNHKスペシャルを見まして、やはりAIの進歩が人類の未来にどう影響するかは人々の関心を集めているのだな、とあらためて納得した次第の技術部長でございます。今回セミナーでご紹介した事例は4月から5月10日くらいにかけて集めたものですが、セミナーの後で、いくつか面白い事例を発見しましたので、改めて当ブログにてご紹介したいと思います。なお、毎度のことながら多分に「技術部長が個人的に考えている事」が含まれており、当社全体の意見を反映しているわけではございませんし、ご紹介するURLなどのリンクもあくまでご紹介であって、外部の内容を保障、推薦するものではございませんのでご了承ください。


AIが社会に与える影響
ディープラーニングが人間の脳を模倣していたとしてもそれは特定の領域に限られる話であって、AIがいわゆる「人間を超える知性」(例: 2001年宇宙の旅のHALのようなAIですね)を持つとは思いませんが、世間的にはAIが人間を絶滅させる未来などを、SFではなく現実の話として捉える向きも出てきています。AIが人類を絶滅させようなどの「意志」を果たして持つのかどうかはまだわかりませんが、絶滅とまでいかずともAIやロボットが様々な領域に進出することで、人間の仕事がなくなっていくという未来は既に現実になりつつあります。疲れもせず睡眠も不要なロボットは80年代90年代、製造業に大きな影響を与えましたが、一般に「知性」が必要とされる分野でも人間から仕事を奪う可能性が現実化しているのです。

  • “Ross” — 弁護士AIボット (外部リンク)
    アメリカの法律事務所”BakerHostetier”が、AIボット”Ross”を採用公開して話題になりました。IBMのWatson上で動くRossは破産関係の書類を読み込み解析し、人間からの質問に対して返答するそうです。とりあえず弁護士の皆さんが大量の書類を夜通し読み込む必要はなくなるわけですが、そのうち解析して戦略を練って実際に裁判所で喋る(か、裁判所自体がサイバー空間に移行する)ことになるかもしれません。
  • AIは「不用な人間」を作るか? — “Homo Deus – A Brief History of Tomorrow” (外部リンク)
    海外のベストセラー”Sapiens – A Brief History of Humankind”著者であるヘブライ大学のハラリ博士の新刊”Homo Deus – A Brief History of Tomorrow”が2016年9月に刊行予定です。人間が、人間と同じ能力を持つAIを生み出す神のごとき力を持つことで、逆に「『不用な』人間が生まれる」脅威を書いています。ハラリ博士のインタビューが英Guardian紙に掲載されていました(外部リンク)。

AIが「知性」や「意識」をもつ時、あるいは「意識」とは?
「AIは知性を持つのか」という問いかけに関して、「知性」を「意識」と捉える人もいますね。知性と意識は別ものですが、そういえばAIは意識を持つのでしょうか。まず、そもそも意識とは何かについて科学的にハッキリと定義されてるわけではないようです。意識を科学的に定義しようとしたり、意識を解明しようとする研究は長い間、科学ではなく(我思う的な)哲学の領域でしたし、最近になってようやく実際に脳科学によって意識というか無意識や脳による情報の処理について研究が行えるようになったにすぎません。意識を持つ人間にとっては意識の存在は自明であるように思われますが、実際には「意識受動仮説」のように、いま皆さんがお持ちの意識が実は幻想である可能性もあるわけですし、たとえAIが意識を持ったとしても意識がまず何なのかわからないと判定もしようがありません。今後機械知性の研究結果を踏まえて、人間の意識に関する研究も進むのではないかと思っています。

  • ダン・デネット「我々の意識について」(外部リンク)
    受動意識仮説は「人間が実際に腕を動かそうとする0.3秒前に、腕の筋肉に動こうとする電位変動がみられた」実際の実験結果をもとに「意識とは実際の動きをもっともらしく理解するための幻想に過ぎない」という仮説ではありますが、それに限らず人間の意識について知っていると思い込んでいる事象がいかに少なく、そして脳自体の幻想に騙されているに過ぎないか、哲学者・認知科学者のダニエル・デネットのTED講演(2003年)が少々古いですがWebで公開されています。
  • 意識は幻想か?「私」の謎を解く受動意識仮説 (外部リンク)
    日本語での資料については、これまた少々古い(2010年)ですが、意識とAIの関係について、慶応大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授(外部リンク)の講演がYoutubeにあります。

AIが(できれば)進出してほしくない分野もあります
このように社会に影響を与え、人間の仕事を奪い、意識とは何かを問いかけるAIですが、たとえば医師より正確に診断してくれるお医者さんAIや、上の弁護士AIなどは「正確で便利なツール」とされ期待されるでしょうし、美の意味を問いかける意味で芸術を創造するAIが生まれることにも意義はあると思うのですが、一方であんまり進出して欲しくない分野というものもあるわけです。

  • 対人AIと恋愛
    たとえばその人のライフログなど記録を解析して、その人に気に入られるためにチャットボットを作成したとします。おそらくとても気に入られるとは思うのですが、その発展として機械と恋愛することはあり得るのでしょうか。機械との恋愛を主題にしたSF映画だと古くは”メトロポリス”(恋愛じゃないかもしれない)とか最近だと”Ex Machina”(観たかったのですが未見)がありますし、また恋愛ゲームでは擬似的な恋愛に陥る若者が続出しており「ときめきメモリアル」や「ラブプラス」は現象として一般社会でも話題になりました。そういえばNHKスペシャルでもAIボットと擬似的な恋愛関係に陥る若者がいたような気もします。恋愛関連については実は一番需要があるのでは無いかとも思えますが、人類の未来や社会の変化について一番影響を及ぼす可能性がある気もします。
  • ギャンブル — 「ケンタッキーダービーで4連単的中させた群知能AI」(外部リンク)
    偶然性の高いギャンプルは兎も角、駆け引きや能力によりある程度予測ができるギャンブルについては、AIを利用する事で勝率を上げることが可能ですし、実際にアメリカの有名競馬レース「ケンタッキーダービー」の4連単(1位から4位を順に当てる)を当てた群知能AIが話題となりました(ちなみに$20が$11000になるくらいの掛け率だとか)。AIにより勝率が極端に上がると、逆に勝つか負けるかがわからないワクワク感が大幅に減ると思いますが、どうやってワクワク感を維持するのか、また、公営ギャンブルやラスベガスがAIによる予想に対応してどう変化していくか、興味深いですね。
  • 軍事的なもの
    Microsoftが仮想現実メガネデバイスHoloLensを軍事的に利用するブログを公開した後、なぜかプロジェクトごと非公開になるという記事もありましたが、ドローンやAIやロボットの研究やプロジェクトの中には、米国国防総省のDARPA(新技術開発研究部門)の支援を受けているものが多くあります(Googleの犬ロボットはDARPAに却下されちゃいましたが)。まあインターネットも元々はDARPAの冗長性ネットワーク研究からつくられたものですけれども、AIやロボットの発展がより優れた戦闘用殺戮機械につながることは明らかですし、実際に進歩しつづける戦闘用ドローンは日夜、中東で利用され続けています。先進国が「AIやロボットを活用し戦争から人間を遠ざけ」続けると、いつの日か「AIのバグで世界大戦勃発」などそれこそAIのせいで人類が絶滅する事態にもなりかねない、と心配は尽きません。
  • 宗教的なもの
    現在のところ、AIと宗教を結びつけるものは(おそらく「空飛ぶスパゲティモンスター」教以外は)ありません。むしろ無神論的意見を持つ人がAI研究には多いという印象を受けます。しかし発展し続けるAIを宗教がどう使うか、宗教家や神学者がAIをどう利用するかについてはとても興味があります。例えば教祖の教えを全て解析したAIが新しい教義を1つ作り出したとして、人はそれを信じるんでしょうか。電気がある限り存在し続けるAIは理想的な教祖になれそうです。あるいは古今東西の神様の教義を吸収解析したディープラーニングは、新しい神様を作り出すことができるんでしょうか。膨大な矛盾を解決するどころか、逆に新しい矛盾を足してきたらどうしようか、などちょっと試してみたいところではあるのですが。

ほんの10年前には空想の産物だった事を現実に議論していて夢のようですが、今世紀にはますます、SF小説を超える変化が現実社会にもたらされるのでしょう。人工知能を持つロボットと聞いて我々はアトムやアラレちゃんを想像します(古いかな)。そしてAIが意識を持つか持たないかを考えるのですが、いずれ意識は大して関係なくなるかもしれません。なぜなら人間は「人間のように振る舞うAIもしくは人間」と「人間と同じ意識を持つAIもしくは人間」をそもそも区別できません(P.K.ディックの「人間もどき」とか、あるいは「哲学的ゾンビ」にも似た話です)し、人間よりも有能なAIが実際に生まれる時代では、人は「相手に意識があるのかないのか」をそれほど厳密に考えなくなるのかもしれないのです。そんな未来でも、結局人間は意識を持つ意義、人間の生きる意味を考えたりするのでしょうが、さてどうなるでしょうか。

 

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