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CEOニュースレター

動いて伸びる、2012年 インターナップ・ジャパン

2012年1月

2012年の当社のキャッチ・フレーズは、「動いて伸びる」です。当社の経営理念のその1は「社員の成長を助成し、成長を続ける社員の行動により、世の中に付加価値をもたらすこと」ですが、今年のキャッチ・フレーズはそれを 逆から言ったもので、要するに「行動して、成長しよう」ということです。
 こういうことを言うとすぐ、「成長ってなんだ」と聞いてくる人もいるかもしれませんが、そういう野暮なことを 聞く人にはもうレベルを合わせて、「少なくとも背が伸びるとか、体重が増えることではないよ。」と答える以外に ありません。真面目な人なら誰でもわかっていますが、大人になったら成長というのは、自己の世の中において使える度合いを高めることです。ですから、当社において「成長しよう」というのは、社員個人としては「もっと使える人間になろう」、会社としては「もっと使える会社になろう」ということです。成長しなければいけない理由は、これまた至極簡単なお話で、使えない人間や会社になったら大変だからです。使えないものは捨てられる、これがものの道理ですから。
 この基本的な事実から目を背けて、弱者を切り捨てて強者だけが成功するのはけしからんと声高に唱える人を最近 よく見かけます。勘違いしないでいただきたいのは、私は、別に使えないものはすべて切り捨てろと言っているのではありません。例えば、重い障害をかかえて働きたくても働けない方達もいます。そういう方達を切り捨てるべきだなど言うつもりは毛頭ありません。そもそもこういう方達は、障害と闘い続けているわけですから、それ自体、周囲に大いなる付加価値をもたらしているのであり、使えない人間の定義に当てはまりません。

しかし、使える人間にならなくても、自分には使ってもらえる権利があると思っている人もいます。こういう人は、まず使えません。こういう権利意識に凝り固まっている人をお望み通りに使おうとすると、必ず文句を言いだすものです。どうも使い方がお気に召さないらしい。究極、こうした人達は、自分達には自分達の納得のいく形で使ってもらえる権利があると思っているわけです。そしてその納得のいく形とは何か。これは、突き詰めれば大体いつも同じです。「ノーリスク・ハイリターン」「ノーワーク・グッドペイメント」。つまりこういう人達にとっては、自分が楽をするという権利こそが崇高なわけです。
 こういう人達の口癖はいつも、「ウチの部っておかしい。」 けれども、おかしい理由は答えられません。ならば 代わりに私がお答えしましょう。「ウチの部って言ってもあなたの部ではないのですが、とにかく、その部はちっともあなたに楽をさせてくれないから。」です。こんなこともよく言います。「ウチの会社は、社長のイエスマンばかり。自分は組織のために、言うべきことははっきり言う。納得のいかないことはやらないんだ。」そういう人達に私は、「言葉は、もう少し正確に使うべきです。」と申し上げたい。それは、「言いたいことは、似た者同士内輪で言い合って大いに盛り上がる。やりたくないことはやらないんだ。」の間違いじゃないですか?それに、そのいわゆるイエスマン達は、社長の言うことをまずは理解しようと努め、やってみて、その上で事実に基づいたフィードバックをしてくれますが、イエスマンを批判する人達は、「そんなのおかしい」というだけで何もしないか、やる必要もないことをやって忙しがっているものです。  

以上のごとく、自分は使ってもらえて当然、しかもそれは、自分が納得のいく形で使われなければならないのであるという権利意識は、成長を阻害する最大の要因です。それにしても、このような我儘な人権意識は、一体どこから生じるものなのでしょうか?よく見かけるのは、この権利を人間が神から平等に与えられた基本的人権であると勘違いしている人達です。確かに日本国憲法も、職業選択の自由ですとか、信仰の自由といったいくつかの基本的人権を保証しています。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利という生存権も保証されています。しかし、自らの納得感を尊重される権利などはどこにもないのです。ましてや他人に自らを納得させるよう、請求する権利はありません。
 確かに、何か事を成したいのであれば、助けてくれる人に動いてもらうために、その人達に自らの意図を説明し、納得してもらうことが大いに重要です。最近は、こういうことを説明責任などという言葉に置き換える経営書が多いので、自分は納得させてもらえる権利があると勘違いをする人達がでてくるのでしょう。説明というものは、目的に共感し、協力し、貢献してくれる人達に対して、更にそれを促進するために行われるものなのです。そもそも、目的に共感も協力も貢献もする気がない人達に説明をしても、何の意味もありません。そういう人達は置いて行かれる。これが世の中の道理です。  

また、人間に納得権というありもしない権利を信奉させるに至る危険な要素に、眼前の課題と無関係な成功があります。例えば、学歴です。一流大学を卒業した人は、確かに理解力が高く、事務能力が優れているということが多いでしょう。しかし、眼前の課題にその理解力と事務能力を活かせないのであれば意味はありません。一流大学を卒業したという成功自体は、眼前の課題とは無関係なのです。しかし時として、一流大学を卒業した人は、それをもって自分は特別に扱ってもらえる権利があると誤解してしまいます。これと同様のことが資格、勉強、スポーツなどにも言えます。これらで優れた成果を出した人は確かに、知識、体力、根性などの点で優れている場合が多いでしょう。しかしだからと言って、その成功をもってして、本質的に特別な権利がオートマチックに発生するものではありません。世の中には資格取得奨励制度などといって、一見、資格を取ると特権が与えられると勘違いさせやすい制度も存在しますが、これは制度制定者の都合でやっているものであり、資格取得者に報いるものではありません。そこを勘違いして特権が与えられたと勘違いしていては、使えない人間になってしまいます。
 使える人間になるために必要なこと、それはまず、使ってもらえて当然という権利意識と、納得させてもらいたいという甘えを捨てることです。使ってもらえるようになるためには、自分を使ってくれそうな周囲に、自分が使える人間であることを自ら証明する必要があります。その証明は、学歴や資格といった、周囲の目標と無関係な成功をもってしてはできません。方法はただ一つだけです。目の前の課題に対して行動を起こし、結果を示すこと。そして、その結果についての周囲からのフィードバックを踏まえ、新たな行動を起こし、また結果を示す。これを繰り返しているうちに、周囲が必要とすることと、自らの行動の方向性が次第に合ってきます。あとは、経験を積んで行動の質を高めていくことに比例して、自らの使えるレベルが向上します。これを成長というのです。

当社は、社員個々人としても会社としても、この行動の積み重ねによる成長を続けていきたいのです。これが2012年のキャッチ・フレーズである「動いて、伸びる」に込めた思いです。余談になりますが、2012年の干支の「辰」の原字は「蜃」で、「漢書律暦志」では、まさに「動いて伸びる」の意味と解されているそうです。これは、当社のキャッチ・フレーズを決めた後、最近わかったことであり、決して漢書律暦志からまるごと拝借したわけではありません。
 2012年も変わらぬご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

代表執行役CEO  奥野 政樹

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